KEIBA CULTURE MAGAZINE「ROUNDERS」が創刊されてから、早くも半年が過ぎようとしています。本当に続けられるの?と心配してくださっている読者の方もたくさんいらっしゃるのではないかと思いますが、このたび無事vol.2の発行にどうにか漕ぎ着けることができました。ありがたいことに、vol.1の売上がついに損益分岐点を超える見通しが立ったのです。あ、損益分岐点と言うとちょっと語弊があるのですが、つまり、プラスマイナスゼロ=利益もないが損もない地点に、まずは辿り着くことができたということです。マイナスがつづくとなると、どこかで撤退を考えなくてはなりません。しかし、損をしないところまで辿り着くことができたなら、少なくとも、つづけることができます。僕たちの情熱と体力がなくなってしまわない限り、つづけることができるのです。

正直に告白しますと、「10000部を目指す!」と意気揚々の治郎丸編集長とは対照的に、そもそも創刊の話を持ちかけた当人である僕自身は、500冊くらい何とか売って、数十万円くらいは自腹を切るところからのスタートだろうなと内心では思っていたのです。もちろん、「治郎丸敬之」を雑誌というかたちに仕上げれば、面白くて魅力的な競馬雑誌ができあがるに違いない、という僕の直観どおり、素晴らしい創刊号ができあがりました。が……

……しかし、コンテンツにどれだけ自信があっても、今は関係者の誰もが悲鳴を上げざるをえない未曽有の出版不況。友人の編集者たちの話を聞いても、印刷会社で(つい最近まで)働いていた僕自身の経験から言っても、1冊の書籍の発行部数は激減し、増刷がかかる頻度もここ数年で驚くほど少なくなってしまいました。ところが、1996年をピークに売上は下がりつづける一方で、新刊の年間出版点数は、1992年に約38000点だったのが、現在では約80000点に激増しているのです。売上数は下がっているのに発行点数が激増している現象は、

(1)1冊の本の売上が半減する
→無能な出版人たちはこぞって「売れないなら数増やせ」という戦略を採用する
(2)1冊の本を世に出すための努力と情熱の総量が半減する
→これまでと同じ人数同じ納期で点数を増やすのだから必然“太め残り”本や“急仕上げ”本が氾濫する
(3)1冊の本が書店で読者の目に触れる期間と機会が半減する
→書店スペースの椅子取りゲームの加速化。しかも取次(問屋)を通して全国の書店に配られた本の約半分は売れずに返本されてくる

という状況を示します。「ROUNDERS」は法人ではなく個人で出版していますので、そう簡単に取次と契約できるわけもなく、最初から他の出版社と同じ舞台に立つなんてことはとてもできません。また、同じ舞台に立てたとしても、いま述べたとおりの厳しい状況。結局、ネットでの直販およびAmazonをベースに販売していくしか選択肢がありませんでした。

そんななか、いち早く「ROUNDERS」の存在に気づいてくださり、名乗りを上げてくださったのがジュンク堂書店のMさんでした。本来なら僕たちのほうから直接ご挨拶に伺い、委託契約のお願いをするのが筋なのですが、わざわざMさんからお声をかけてくださっただけでなく、ジュンク堂書店の他の店舗のご担当者の皆様にも「ROUNDERS」を推してくださったのです。Mさんとジュンク堂書店の皆様の、僕たちの試みを決して無下にすることなく、ひとりでも多くの方々に雑誌の存在を伝えるチャンスを快く与えてくださるその姿勢、僕は元書店員として誇りに思います(福嶋聡さんと田口久美子さんには大きな影響を受けてますから)。そして、JRA(中央競馬会)、PRセンターの関係者の皆様は、どこの馬の骨とも分からない僕たちが創刊した「ROUNDERS」という雑誌の存在を認めてくださり、各地のターフィーショップでの販売に踏み切ってくださいました。リアルな現場に「ROUNDERS」の販路を敷いてくださった皆様に、編集人として心から感謝いたします。

そして何と言っても、僕たちのいちばんの原動力になっているのは読者の皆さんの存在です。注文時の備考欄の励ましのコメントの数々、twitterでのつぶやきたちにブログでの感想と紹介の数々、中には直接手紙を送ってくれた方もいます。そういったすべてのことが、ひとつひとつは極めて小さな光の粒なのですが、まさに“元気玉”さながらの眩しくどデカいエネルギーとして、僕たちのもとへ日々届けられるのが本当にひしひしと感じられるのです。サラブレッドが人のために走るように、僕たちは競馬を愛する皆さんのために走りつづけます。今後とも応援よろしくお願いいたします。

※「ROUNDERS」vol.2先行予約はブログ「ガラスの競馬場」にて受付中!