
僕自身は競馬歴も浅いということもあって、「競馬に興味を持ち始めた初心者」というスタンスで、「ROUNDERS」という雑誌づくりに臨みました。オグリキャップはもちろん、ディープインパクトの現役時代も経験していないので、治郎丸さんのようなコアな競馬ファンが見てきた光景や吸ってきた空気というものを本当に知らないわけです。もちろんギャンブルに手を染めている恥じらいのようなものも希薄。これは無知という意味では弱みですが、ピュア(笑)という意味では強みにもなります。
「好きなことは何ですか?」という質問に対し、真顔でしかも誇らしげに「競馬だよ」と答えられますし、つづく「儲かってる?」という質問に対しても「儲かってるねぇ」と答えたい(修行中)。「競馬ってギャンブルでしょ?いやあねえ」とくれば、「はあ?ワイドショーの見過ぎでしょそれ」と当然説教しなくちゃならんでしょ。で、そんなときにあったらいいなあと思うのが、「競馬って、ほら、こんなにクールで奥が深いものなんだぜ」って言いながら差し出せる競馬の雑誌。まずは、「ROUNDERS」をそういう雑誌に僕はしていきたいんですね。
なぜ「雑誌」なのか? 手間ひまに加え膨大なコストの掛かる「雑誌」なのか?についてなのですが、これはもう、サラブレッドを扱う以上、それしかあり得ないと思ったからなんです。東京競馬場のパドックで生まれて初めてサラブレッドを見た時、「うわあ、なんて綺麗なんだ!」って僕は思いました。このサラブレッドの美しさというのは、先天的なものである以上に、産まれてから競争馬へと極限の仕上げを施されてゆく過程で備わっていく美しさなんだということをあとで知るようになりました。しかもそこには、一頭の馬をとりまくたくさんの人間の想いまでが込められているのですよね。そうした想いや期待を一身に背負って走るからこそ、ますますサラブレッドが美しく感じられるのです。
雑誌にも同じことが言えるんじゃないかと思います。ダビスタのサラブレッドと肉体を持ったサラブレッドが異なるように、遍在する情報と具体的なかたちにまとめられた雑誌とでは、同じテキストを読むにしても、印象が大きく異なります。競馬にまつわる情報はいまやあらゆるところに溢れています。競馬はブログやtwitterとの親和性も高く、それらを通じて、さらに競馬が面白くなったという人も多いのではないでしょうか(僕ももちろんその一人です)。情報の共有という意味においても驚異的で、これらのツールによって実現化された速報性を前に、月刊誌や週刊誌、あるいは日刊紙でさえ太刀打ちできない状況にすでに突入していますよね(エアシェイディの残念なニュースを後藤騎手の「つぶやき」で最初に知ったという人はものすごく多いのではないでしょうか?)。
こうして、速報性に依拠する情報とは別に、もっと普遍的な情報や物語を扱おうという方向性が見えてきました。そして、多くの人たちの想いを載せて多くの人たちのもとへそれを届けることができること、極限の仕上げを施され研ぎ澄まされた姿で現れること、たくさんの人たちに応援してもらえること――まるでサラブレッドという存在をなぞるようにして雑誌「ROUNDERS」は生まれ、いま新馬戦のゲートを飛び出しました。一頭の若駒を応援するように、「ROUNDERS」をぜひ応援してください!
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